遺品整理を始める時期やタイミング
親族や身内が亡くなり、故人の遺品整理をする機会は、人生でそれほど多くありません。
いざ自分がやることになってしまったら、ほとんどの人はいつから始めるべきなのか? どうすれば良いかわからず、困ってしまうことと思います。
遺品整理の最適なタイミングはご遺族の気持ちが落ち着いてきたときなど、時間的や精神的に余裕がある時期を見計らって始めるのが一般的です。
ただ、遺品整理には様々な手続きがあり、親族が集まる【四十九日後・諸手続き後・葬儀後・相続前】です。
理由は、親族が集まるタイミングであり、整理を効率的に行えるからです。
また、相続税の納税は死亡事実を知った日の翌日から数えて10カ月と守るべき期限があり、遅れた場合はペナルティが課せられるなど、ご自身のタイミングやペース以外にも注目・対処する作業がある事も覚えておく必要があります。
1. 四十九日を迎えた後
仏教では、故人の魂は死後四十九日まで現世をさまよっていると考えられています。
そのため、魂が次の世へ旅立っていく四十九日を目安に多くの方が遺品整理を行うことが多いいです。
また遺族が多く集まるので、親族間で遺品整理について話し合いをすることがきっかけになります。
遺品整理に合わせて形見分けを行いやすいという点もあります。
2. 諸手続きの完了後
誰かが亡くなると多くの手続きをしなければなりません。
死亡届に始まり、電気や水道、ガス、年金、保険金など手続きは多岐にわたり、遺品整理までなかなか手が回りません。
そのような理由から多くの方が、ひと通りの手続きが終わってから遺品整理を行います。
3. 葬儀後すぐ
故人が賃貸に住んでいた場合は、退去まで家賃を払い続けることになるので、葬儀後すぐに遺品整理を行わざるをえません。
高齢で賃貸に入居した場合には、亡くなった後の原状回復について大家と取り決めを交わしている場合もあるので、大家や管理会社に連絡をとり、遺品整理の日取りを確認したほうがよいでしょう。
また遺族の多くが遠方に住んでいて、集まる機会が少ない場合にも葬儀後すぐに行うことが多いようです。
4. 相続税が発生する前
相続税とは、相続する遺産にかかる税金のことです。亡くなった方の遺した財産が、相続税の非課税額を超えていた場合、相続税の申告書を作成し、税務署に提出する必要があります。
相続税の納税は死亡事実を知った日の翌日から数えて10ヶ月以内に申告・納税しないといけません。
遅れた場合はペナルティが課せられるので注意が必要になります。
この期間を過ぎてしまうと、相続税の控除を受けられなくなり、延滞税を課されてしまうことがあります。
また、相続税を算出するためには、まずは遺品整理を行い、相続する財産の金額を調べることになります。
現預金だけでなく、金銭的価値のあるものの査定、土地や不動産の評価額も調査する必要があります。
相続の手続きに十分な時間を確保するためにも、余裕を持って遺品整理をすると良いでしょう。
相続税の申告書の作成や提出は相続者自身で行うことも可能です。
しかし、相続の手続きは複雑なため、税理士などの専門知識を持った方に依頼するとよいでしょう。
また相続手続きだけでなく家の中の家財処分についてもお悩みの場合は、相続についても相談できる遺品整理業者に依頼することもできます。
5.固定資産税が増える前に空き家の処理をする
非常に多い相談としては、亡くなった方以外は誰も住んでおらず、空き家になってしまっている場合です。
空き家が【特定空家】【倒壊の恐れなど、放置することが不適切な状態にある建物のこと】に指定されてしまうと固定資産税が上がり、場合によっては、50万円以下の過料が科される可能性があるため注意が必要です。
遺品整理は何をするの?
遺品整理とは、故人が生前に使っていたものを整理することです。
遺品とは、故人の身の回りのものや日常的に使っていたもの、家族のために残した遺産など、全てのものを指します。
故人の私物を整理すると、その人が生きていた証となるものとあらためて向き合うことになるため、残された人たちは再び悲しみや寂しさに包まれてしまうことになります。
遺品をそのままの状態で残しておくと、見るたびに故人の思い出がよみがえり、心が重くなってしまうこともあるでしょう。
遺品を整理している間は、ほんの一時の寂しさを感じるでしょうが、故人の私物を丁寧に仕分け、片付けていくことで、気持ちの整理につながります。
故人との思い出や記憶の架け橋となる大切な遺品の整理は、本来であればじっくりと時間をかけて行いたいものです。
遺品の仕分け
遺品整理をする際にはまず遺品の仕分け作業が必要になります。 【これは残しておきたい】【これは処分する】など、故人の所有物を仕分けを行います。
【貴重品】
- 銀行の通帳
- 印鑑
- 年金手帳
- 健康保険証
- マイナンバーカード
- パスポート
- 結婚や結納指輪
- 契約書類
- 不動産関係の書類
- キャッシュカード/クレジットカード
- 切手/コインなど小型のコレクション品
- 金庫と金庫の鍵 など
これらの貴重品を整理するには、法的な手続きが必要です。
また、期日が設けられていることがあるため、必ず優先的に処理するようにしましょう。
なお財産的価値のある土地の権利書や有価証券のほか、貴金属類も1点5万円以上など時価の資産価値が高ければ、相続財産として評価の方法が変わります。
金額次第では財産相続に関わる場合もある事柄なので、専門の税理士や司法書士に別途相談しましょう。
形見
形見分けは、もともと仏教を開いたお釈迦様が、弟子に自分の遺品を渡したという言い伝えから始まっているようです。
このほか日本では身につけていたものには魂がこもっているという考え方があり、その思想が故人の形見分けとして慣習化し、今に受け継がれていると言われています。
一般的に、形見の仕分け後は、親族や、故人と親交の深かった人に「形見分け」を行います。
ただし貴重品は贈与税の対象になる可能性がありますので、遺産整理の際に分ける必要があります。
不用品を廃棄する
処分するものが決まったら、廃棄処分が必要になってきます。
- 燃えるゴミ(紙、革製品、ビニール、小物家具、そのほか雑品など)
- 燃えないゴミ(せともの、金属類、電球、スプレー缶など)
- 粗大ゴミ(大型家具、リサイクルの義務付けられていない家電、布団など) ※ゴミの分別は市区町村ごとの分別方法を確認してください。
処分方法はいくつかに分類されます。
- 家庭ゴミで処分する
- 各自治体の処分場に持ち込む
- 不用品回収業者に依頼する
- リサイクル業者や買取業者に依頼する
ゴミの量が多い場合や、品目によっては家庭ゴミとして処分できない場合がありますので、各自治体のルールに従って処分してください。
家庭ゴミでは出せない家電や大型家具、大量の衣類がある場合は不用品回収業者への依頼が必要になります。
リサイクルが可能な製品がある場合は、買取を行ってくれる業者に依頼すると費用を節約できます。
多くの場合、不用品回収を行っている業者が併せて買取も対応してくれますので、事前に情報を確認しておきましょう。
再利用品として業者に回収してもらう物
- 冷蔵庫、テレビ、洗濯機、パソコンなど稼働可能な家電
- ベッドやタンスなどの家具
- 鍋や釜などの金属類(銅、アルミ、ステンレスなど)
- 衣類
- 古紙、古布、プラスチック類
通常は処分費用がかかる家電製品を無料で引き取ってくれることもあるほか、物品によっては買い取ってくれることもあります。
福祉施設への寄付や海外でのリユースを手配してくれる遺品整理業者もいます。
遺品の供養
「遺品供養」は、神社やお寺などで、神主や僧侶に祝詞を唱えてもらい、お焚き上げは、故人が大切にしていた物である遺品を焼却し浄火することで魂を天にかえして供養すると考えられています。
遺品整理は、残された家族や友人にとって、精神的な負担が大きいものです。
写真や手帳などは焼却をして供養しますが、焼却できない物に関しては読経した上で魂抜きをし、遺品の代わりにお札をお焚き上げすることで供養とする場合もあるようです。
ただの不要品として処分できないような遺品や形見を供養して手放すことで、遺族の心の負担も軽くなります。
遺品整理を業者に依頼するメリットは?
遺品整理を自分たちでやろうと思っても、かなりの時間や労力がかかります。
できるだけ負担を減らしたいとお考えなら、遺品整理業者に依頼することをおススメ致します。
- 短時間で遺品整理を済ませられる
- 大型家具などの重い物の運び出しが不要
- 相続や空き家などの相談を専門家にできる
- 遺品供養をしてもらえる
- 遺品の買い取りが可能な業者もある
遺品整理を業者に依頼すると、上記のようなメリットが得られます。
短時間で遺品整理を済ませられる
人が住んでいた家を自分たちだけで片付けようとすれば、相当な時間がかかるケースがほとんどです。 遺品整理業者は、最短なら数時間から1日で作業が完了します。
ゴミの分別や大型ゴミの回収、遺品の仕分けまで必要です。
普段仕事をしている人は仕事を休んで遺品整理をしなければならない。
遺族が遠方に住んでいればわざわざ遠くから来なければならないので負担が大きい。
大型家具など重い物の運び出しが不要
ほとんどの場合は大型の家具や冷蔵庫や洗濯機など、重い物の運び出しが必要になります。
高齢の方や女性だけだと、現実的に運び出すのは不可能な場合がほとんどです。
遺品整理業者に依頼すれば、重たい物を運ぶ必要はありません。
相続や空き家などの相談を専門家にできる
遺品整理を専門にやっている業者の中には、整理後のトラブルに対応するところもあります。
残された遺品に高価な品物や現金などが残されていて、相続のトラブルがおこることがあります。
住んでいた家が持ち家だった場合は、相続人はその後の対応もあります。
遺品整理業者が不動産業者・弁護士・司法書士・行政書士と提携している業者なら、相続や空き家の相談もできます。
遺品整理を業者に依頼するデメリット
メリットが多い遺品整理業者への依頼ですが、いくつかデメリットも存在します。
業者への依頼を考えるときは、メリット・デメリットの両方を把握したうえで、自分で遺品整理をするのか、業者に依頼するのか決めましょう。
委託費用がかかる
遺品整理を業者に依頼する場合、時間も手間もかからない分、どうしても委託費用がかかってきます。
業者が遺品整理をするときは、短時間でスムーズに行えるように複数人で行うのが一般的です。
そのため、遺品の数によっても大きく変わりますが、概ね1Kで3~8万円程度、3LDKの一軒家で17~60万円程度の費用がかかります。
自分で整理を行う場合の出費や労力と相談して、業者に依頼するかを決めるのがおすすめです。
故人との思い出を整理しにくい
業者に遺品整理をすると、遺族が遺品を扱う時間が短くなるため、人によっては思い出を整理しにくいと感じるかもしれません。
自分で遺品を整理すると、労力はかかりますが、1つひとつを手に取って思い出に浸ることができます。
一方、業者が遺品整理するときは、短時間でスピーディーに片付けが終わってしまいます。
故人との時間を思い出しながら整理したい場合は、手を付けない場所を指定する、一部の作業を手伝ってもらうといった依頼の仕方がおすすめです。
遺品整理業者とトラブルになる可能性がある
悪徳業者に引っかかったり、業者と依頼内容に認識の違いが合ったりすると、トラブルに発展する可能性があります。
実際に、【法外な金額を請求された】【大切な品を処分された】【キャンセルしたら手付金が返ってこない】といったトラブルが、消費者センターに多くの相談が寄せられているようです。
お金を払ったにもかかわらず作業を始めなかったり、押し買いのように必要な貴金属を強引に買い取っていくなどといったケースもあるようです。
見積もりとは違う追加料金を取られたり、残しておいてほしい遺品を処分されたり、などというトラブルにつながります。
悪質な業者とのトラブルに巻き込まれることのないように、信頼できる業者を選ぶことが肝心です。
まとめ
遺品整理をいつから始めるか?ということに正解などはありませんが、気持ちの整理がつき次第、早めにするのがおすすめです。
四十九日の直近は準備などで忙しいので、前もって親族と早めに話し合い、四十九日前に遺品整理業者に相談するのが一番スムーズにことが運びます。
業者への依頼は、短時間できれいに作業してもらえますし、【実家が遠方のため、また相続人に時間がないため遺品整理をするのが難しい】という環境の人は特に心強い選択肢となるでしょう。
しかし、すべてをお任せすることは、できる限り避けた方が良いです。
可能ではれば立ち会って整理作業を確認したほうが無駄なトラブルを防ぐことができます。
トラブルの際は必ず、消費者センターに相談しましょう! https://www.kokusen.go.jp/mimamori/mj_mailmag/mj-shinsen276.html
遺品のエンドロールは、遺品整理で困る様々な悩みに対応でますので、些細なことでも弊社には気軽に相談して頂けましたら幸いです。